ミライズグループとは ― 自動運転タクシーで帯広に実現したい未来
前回は、帯広・十勝の地方交通が抱える課題を整理しました。高齢者の移動困難、保護者の送迎負担、そして「タクシーを日常的に使うには費用面のハードルがあり、バスは減便が進む」という状況。ではこの課題に対して、私たちは何を目指しているのか。今回はその中身をお伝えします。
タクシーから介護、子育て支援まで ― 帯広の暮らしを支えてきた私たち
私たちミライズグループは、帯広・芽室を拠点として、タクシーや介護タクシー、コミュニティバスなどの交通事業を中心に、児童発達支援や保育園、カフェなど地域の暮らしに根ざした事業を展開しています。2025年には交通DXを担う「あのタクカンパニー」を設立し、自動運転やAIデマンド交通に本格的に取り組んでいます。
実は帯広市が令和5年度から進めてきた自動運転バスの実証事業も、帯広の交通事業者であるミライズグループの提案をきっかけに始まり、民間主体で展開してきました。私たちは、自動運転を「実験する側」で終わらず、地域で「運行し続ける側」になることを目指しています。
これまでの実証でも利用者数は目標を上回り、手応えと同時に課題も見えてきました。詳しくは次回お伝えします。
実現したいこと①:値段を理由に、移動を諦めない地域へ
自動運転タクシーが実装できれば、運転の一部を車両に任せられるようになり、運行コストの構造が変わります。その分、乗務員は人にしかできない役割に力を注げるようになります。
運賃は国の認可の範囲内で決まりますが、運行コストを抑えられれば、通院したい高齢者にとっても、より利用しやすいサービスを提供できる可能性があります。週に一度の通院、月に数回の買い物。その当たり前を、経済的な理由で諦めなくていい地域にしたい。これが第一の目標です。
実現したいこと②:玄関先まで、時間に縛られない移動
高齢化が進み、買い物や通院といった個別性の高い移動ニーズが高まる一方、従来の路線バスだけでは対応しきれない場面が増えています。
自動運転車両が地域を巡回できるようになれば、バス停まで歩けない方にも、ドア・ツー・ドアの移動を届けられます。運転業務を担う人員の時間的な制約を受けにくくなれば、早朝や夜間を含め、これまでより柔軟な時間帯での運行の実現が期待されます。
実現したいこと③:保育の現場を知る私たちだからこそ、子育て世代の送迎を支えたい
私たちはグループで保育園や児童発達支援の事業も運営しており、送り迎えに悩む保護者の声を日々身近に聞いています。
塾、習い事、部活動、通院など、地方では子どもの移動で保護者による送迎が必要になる場面も少なくありません。共働き世帯にとって、送り迎えの時間や調整は大きな課題となっています。
自動運転が担う定時ルートと、人の手による個別送迎。この二つを組み合わせられれば、保護者が仕事を抜け出さなくても、子どもを安心して送り出せる仕組みがつくれます。私たちが子育てタクシーに取り組んでいるのも、この延長線上にあります。
実現したいこと④:帯広駅を中心とした「回遊できるまち」
帯広市が令和7年度に実施した取り組みでは、交通空白地での新たな移動手段創出に加え、駅・観光地・宿泊地間の回遊性向上が期待効果として挙げられています。帯広駅とおびひろ動物園、ホテルなどを結ぶ移動手段が充実すれば、観光客が市内をスムーズに周遊できます。こうした移動の利便性向上は、住民の日常だけでなく、十勝の観光や地域経済にもつながる可能性があります。
私たちが「民間主導」にこだわる理由
補助金だけに依存した事業形態では、支援期間終了後の事業継続性が大きな課題となります。私たちは共創モデルに関する国の補助事業に採択された実績を活かしつつも、民間企業との連携や自社ビジネスモデルの確立を通じ、補助金だけに頼らない持続可能な自立運行体制の構築を目指しています。
次回は、これまで実際に行ってきた実証実験の結果を、成功も失敗も含めてお話しします。